アメリカの「絵本の読み聞かせの授業」から感じたこと
今期取っている Teaching Language Arts というクラスで、
「絵本を子どもに読み聞かせる練習をしよう」という課題がありました。
各々が好きな本を選んで、読み聞かせのテクニックを練習するというもの。
自分が選んだ本はこちら、
「Shin's Tricycle」
「伸ちゃんの三輪車」でお馴染みの本の英訳版。
四歳になる前に被爆した伸ちゃんと大好きだった三輪車を描いた実話。
原爆でなくなった伸ちゃんの三輪車が、今でも広島平和祈念資料館に展示されています。
この本のことをクラスで紹介して、
「戦争の被害者側の話についてあまり学校で習わなかった。」
「他の国の児童文学の視点から戦争を見ることは、子どもが新しい視点を持つことができる。」
というクラスメイトの意見が印象的でした。
確かに、自国の話からだけ戦争を見てはどうしても偏ってしまいます。
以下の論文でもあるように、特に日本の戦争児童文学は
http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/12657/1/8_35-48.pdf
①日本の戦争児童文学では、戦争の起きた状況や背景よりも、主人公の感情に焦点 があてられる。
②その主人公は、戦争の被害者である。
③その主人公は、戦争が理由で大変悲しい思いをする。
↓
④読者は、「悲しい思いの原因となった戦争はいけない。平和が大切だ。」と考える。
という、被害者視点からしか述べられていないのが印象的です。
日本が加害国になった話について書かれている話がほとんど見つかりませんでした。
(まあ、加害のことは語り継ぎたくないですよね)
では、アメリカの絵本には日本との戦争はどのように描かれているんだろう?
と思い図書館で探してみました。
日本とアメリカの戦争で見つかった絵本は、Japanese Internment (日本人の強制収容)に
ついての本が多いのが発見でした。
僕は、Japanese Internmentについての話を日本で聞くことは今までほとんどなかったです。
一方で、日本が加害国側になった話が多く語られているのは中国でした。
中国の友達に聞いて見ると、
実際の731部隊の人体実験の施設なども見学したと言っていました。
(731部隊についてもこの友達から話を聞くまで知りませんでした。)
もちろん日本の絵本には、南京大虐殺や731部隊についての話など描かれていないです。
日本の絵本には戦争で被害を受けたことのみが強調されています。
実際は、加害国側の一端を担ったという事実を見過ごして。
そしたら、子どもは「被害を受けた」という一面的なことしか感じないでしょう。 こういった幼いころに読んだ本は、子どもの価値観形成に大きく影響します。
だからこそ、一面的な視点だけではなく、多角的な視点から物事を見る大切さを教えなければならないと感じました。