「世界で一番幸せな国」と言われるノルウェーの教育は?
2015年 夏
「君と同じく、1年だけうちの大学に勉強しにくる子がいるよ。」
と言われた時、僕は新宿のゴールデン街のバーにいた。
こぢ
んまりとしたバーで僕が頼んだのは「カルーアミルク」。
バーの壁にはたくさんの名刺が張られており、来客が自分が来た証を残していっている。
昭和の面影を残すこのゴールデン街は、海外の観光客に人気である。
僕は、アメリカからわざわざ来てくれた教授に東京を案内していたのだった。
その時に、ノルウェーから1年間だけ留学する子がいるらしいと言うの初めて聞いた。
僕と同じくサッカー部に所属するとのこと。
アメリカに来て実際に話してみると、僕と同じく先生を目指しているという。
さらに、ホストファミリーも一緒であると判明した。
そんな共通点が色々多かった友達にノルウェーの教育事情について聞いてみた。
「そういえば、小さい町で育ったって言ってたけど町の人口何人くらい?」っていう質問から会話は始まった。
「900人だよ。」
っとさらって答えた彼女。
900人??
今いる町の人口が8000人でも驚いたのに、900人って!!
ノルウェーの国の全人口を調べてみたら500万人のみ。僕の育った千葉県の人口が600万人なので、千葉県よりも少ない人口。
首都などは人口が多くいるが、彼女のような小さい町で育つ人も少ないと言う。
学校は町に1つしかなく、彼女の同級生は18人のみ。
小学生は1年から10年で、その後に3年間の高校があり大学も3年間で卒業できるらしい。(中学校と呼ばれるものはないらしい)
合計すると小中高大合わせて日本と同じ16年間だが、配分が日本とは違う。
約半数の人は大学に通い、他の半数の人は職業訓練校に進学して、大工や漁師、農家になるための専門的なスキルを学ぶ。
先生になるためには大学に通わなければいけないが、彼女の家が大学まで距離が遠いので、オンラインですべて授業を取っているらしい。
オンラインと言っても授業の動画を見るのではなく、Nefsisというソフトを使って授業の生ライブをパソコン越しに視聴しているみたいだ。
と
質問があったら、その時に聞けるし、また、ディスカッションもオンラインでされるらしい。
「家で授業を受けることができるから便利」
という一方で、「オンラインの授業より生の授業のほうがやっぱり集中できる」とも言っていた。
「アメリカの教育とノルウェーの教育の違いって何かある?」
と聞いたら、
「アメリカは子どもに対する勉強へのプレッシャーがノルウェーよりかなり大きい。」
と言っていた。
「全ての人が良い大学に行かなければならないという暗黙の了解があるみたいで、それが多くの人へのプレッシャーになってるだろう」と。
「ノルウェーでは行きたい人が大学に行く。多くの人が、大学以外の選択肢を持っているから膨大の勉強のストレスに悩む必要がない。」
アメリカでは、小学生の時から大量の宿題が出され、勉強のプレッシャーから自殺する子どももいる。
勉強も運動も、音楽も得意だったクラスのマドンナ的少女が自殺してしまった実際にあった事件がきっかけで撮影されたドキュメンタリーがある。
「良い大学に行って、良い仕事を見つけるには小学生の時から良い成績を取るしかない」という考えが蔓延っている社会。
これは、日本も似ているだろう。この考えが理解できる自分もいる
「勉強、勉強、成功、成功、お金持ち、お金持ち」という考えが蔓延している国では、ビル・ゲイツのようなスーパーリッチな人も生まれるだろう。
世界富豪者ランキング上位にごろごろランクインするアメリカ。
GDPも 世界トップに君臨するアメリカ。
それに比べてて、GDPを見てみると決して順位の高い位置にいるわけではないノルウェー。
しかし、国の幸福度で見ると常にアメリカや日本を上回って上位にランクインするノルウェー。
GDPで幸福度は計れない。
「自分は今果たして幸せなのだろうか?日本人は幸せなのだろうか?」
と考えてしまった。
先月話題になった元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカも同じ質問を問いかけていた。
「日本人は本当に幸せなのだろうか?」
一度ノルウェーに住んでノルウェーの価値観に浸ってみたいなーと話を聞いて思ってしまった。