マイノリーティーの先生だからできること in アメリカ
先生を目指す友達の1人にメキシコ出身の友達がいます。
彼はアメリカの国籍を取得してますが、7歳のときにメキシコからシカゴに来ました。
シカゴは多種多様な人種がいる地域で、彼の育った地域はアフリカン・アメリカンとヒスパニックが多く、白人がマイノリティーという少し特殊な環境だったみたいです。
7歳までメキシコで育った彼は最初は英語を全く理解できなかったが、学校の通常クラスに通いました。
彼の先生と親は「英語を学ぶのには英語だけの環境にいるのがベストだろう」と考えたからです。
しかし、彼は英語の知識が全くないので、授業についていけずに留年してしまったそうです。
それをみた先生と親は、彼をバイリンガルクラスに移しました。
バイリンガルクラスは3レベルあり、
レベル1 スペイン語で英語を学ぶ
レベル2 スペイン語と英語半々
レベル3 英語で英語を学ぶ、たまにスペイン語
(レベル3の後のテストに合格すると通常クラスの子供と同じ英語力があるとみなされます。)
彼はバイリンガルプログラムを4年通ってから通常クラスに戻りました。
「通常クラスにずっといたらクラスの落ちこぼれになっていただろう。」
「自分はバイリンガルクラスのほうがあっていた。」
という彼。
通常クラスで早く英語を取得する子どももいるでしょうが、周りに圧倒されて何もできなくなってしまう生徒もいます。
やっぱり、一人一人のニーズにあった教育を提供することが大事なんだなと考えさせられます。
彼はその後通常クラスに戻って、他の生徒以上の成績を取ることができるようになったみたいです。
そんな彼の地域の学校では、多くの友達は学校を辞めたり、ドラッグや薬に手を出して捕まったと言います。
そのような友達を見ているうちにいつしか、彼は自分のコミュニティーを助けたいと考えはじめました。
そして、彼は一人の先生との出会い、先生になることを決意しました。
「その先生はいつも生徒のことを第一に考え、授業もおもしろく、最高の先生だった。彼みたいになれば、自分の育ったコミュニティーを助けることができる。」
「特に、自分は同じような境遇で育ったので、彼らの気持ちがわかる。」
他の地域から来たほどんどの先生は、1年で辞めていってしまうそうです。
また、「多くの優秀な先生は環境が良い富裕層がいる場所に行きたがり、貧困地域には来たがらない」
と言います。
他にも、 彼の地域の多くの生徒は大学にいくことができないという問題もあります。
「お金がなかったり、ドキュメントがなかったり、妊娠してしまったりするからである。大学に行かなかったら工場勤務や建設業などの仕事しかない。」
「全ての生徒が大学に行く必要はないが、子どもに少しでもおくの選択肢を与えたい」
と熱い思いを語ってくれました。
また、彼がどうして歴史を教えたいのかも聞いてみました。
「歴史は自分たちの文化の形成と非常に密接に関わっている。だから、歴史を学ぶことは自分自身の過去を知るということ」
さらに、「アメリカの多くの先生が教える歴史はバイアスがかかっていることが多い」と言います。
確かに僕も、歴史の授業を見たときに違和感を感じました。
アメリカとメキシコの戦争で、100人以上メキシコ人を殺した人が「伝説の男」として授業中に紹介されていました。
メキシコ側からしてみれば、100人も国民を殺した「犯罪者」です。
クラスには、親がメキシコ出身の子どももいました。
このような一面的な教え方で、少しずつ偏見や無意識的な価値観が形成されていくのだと感じました。
彼は、メキシコ出身でアメリカで育ってるので、普通のアメリカの先生とは違う視点で歴史を教えることができるだろうと言います。
「マイノリーティーの先生だからできることがある。歴史を勉強させるのではなく、歴史を感じさせたい」
彼が先生になって再開するのが楽しみです。