日本人は1人だけ!アメリカの大学で教育を学んでみる

日本人は1人だけ!アメリカの大学で教育を学んでみる

休学してアメリカのリベラルアーツカレッジで教育を学ぶ学生。アメリカ留学2年間終了後、アフリカに行き、インド、南米の学校で働いてた。多くの教育関係者、海外に興味を持った方に読まれるブログを運営中。

即興授業 ~スワジランドで教育実習~

 
 
学校に着いて一番初めにすることはお湯を沸かすことです。
 
 
スワジランドでは基本的に煮沸しない限り、水を飲むことはできません。
 
 

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水が出ないときや、蛇口から泥水が出るときもたまにあります。
 
 
もちろんお湯は出ないので、シャワーを浴びるときなどはお湯を沸かして、それを体にかけながらシャワーを浴びます。
 
 
日本で「当たり前」に水が飲めることや、お湯が出るありがたさをスワジランドでひしひしと感じています。
 
 
今日は、6年生のクラスにお邪魔しました。
 
 
話題は「HIV/AIDS」についてです。
 

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小学6年生からHIV/AIDSというかなりディープなトピックについて学んでいるのには、スワジランドではHIV/AIDSが蔓延しているという背景があるからです。 
 
 
スワジランドは、アフリカの国の中でもHIV/AIDSの有病率が最も高いうちの1つの国です。
 
 
HIV/AIDSに感染して死亡してしまう人は多く、また、HIV/AIDSの人に対する差別も少なくありません。
 
 
HIV/AIDSに対しての正しい知識を持っていない人は、HIV/AIDSと診断された人と接することをやめたり、感染者の人間性を否定し始めます。
 
 
実際は、HIV/AIDSは空気感染や飛沫感染などを通しての感染はありませんし、人間性とは一切関係ありません。
 
 
そのような正しい知識を教えるために、学校では比較的早いうちからHIV/AIDSについて教えてました。
 
 
住んでいる場所が違うと、知らなければならないことも異なります。
 
 
それに伴い、学校の授業内容も変わっていくのだなと知りました。
 
 
そしてその後は、2年生の教室にまたお邪魔しました。
 
 
2年生は「学校一手に負えないクラス」と言われて、このクラスの見学はなかなか見応えがあります。笑
 
言うことをしっかり聞く生徒たちよりも、何も聞かない生徒たちに対してどうアプローチするかを見て考えた方が将来の自分の役に立つと感じたからです。
 
 
この日もいつもと同じように、生徒たちは話す、席を立つ、ちょっかいを出し合うと生徒のやりたい放題です。
 
 
それを見た先生は、怒鳴る、廊下に立たせる、空気いすをさせる、などを使って生徒たちと奮闘しています。
 
 
よく観察してると、生徒が騒ぎ始める1つの理由に、鉛筆、消しゴムの貸し借りが原因であることに気づきました。
 
 
何かあるたびに、「ペンがない、消しゴムがない」と始まり「貸して、貸したくない」などの問題が生じます。
 
 
そして、消しゴムを借りるために席を立つ、鉛筆を削るために席を立ち始める。
 
 
そして、先生が怒鳴り始めるが生徒はペンがない。
 
 
この悪循環でした。
 
 
そんな中、
 
 
「授業手伝いましょうか?」と先生に言ってみました。
 
 
そしたら、
 
 
「じゃあこれやって」
 
 
と言われて、授業をその場で任せてもらうことに。
 
 
即興で授業の展開を考えて、すぐさま授業。

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内容は英語の比較の授業でした。
 
 
背が高い(tall)
 
 
という単語の比較級(taller)・最上級(tallest)を教えるために、実際に全員の生徒に前に来てもらって、背を比較することに決めました。
 
 
単語を説明するよりも、実際に単語を使って理解して欲しかったからです。
 
 
黒板の前に来てもらうことで、少しでも授業の中に「動き」を取り入れようという狙いもあります。
 
 
そしたら、黒板の前に来るために生徒が走り出しました。。。
 
 
そして、黒板の前で押し合いが始まります。。。。
 
 
慌ててみんなを席に戻して、2人だけを選んで前に立ってもらうことに。
 
 
選ばれた2人は少しでも自分を大きく見せようと、つま先立ちをしてます。笑
 
 
「デイビッドはロメオより大きい。」
 
 
tallerという単語を使って、例文をみんなで考えます。
 
 
そしてその後は、もう一人生徒を呼んで三人の中で誰が一番背が高い(tallest)かを決めます。
 
 
「誰が一番大きいかな?」と聞いて、
 
 
「アンディーレは背が一番高い。」
 
 
という、例文をみんなで作った後、
 
 
「ちょっと待って。Mr. Masakiが一番背が高いよ。」
 
 
と生徒に言われて、変更して書き直しました。笑
 
 
これらの例文を黒板に書いて、生徒はノートに写していきます。
 
 
例文を一文書き終わる毎にチェックマークを付けていくと、生徒たちはチェックマーク欲しさに一所懸命書き始めました。
 
 
全部の例文を書き終わった後に、「はなまる」を書いてあげると、今までに「はなまる」をみたことがなかったらしく、
 
 
「Mr Masakiがフラワーを書いた!!」
 
 
と興奮して周りの生徒たちに見せました。それを見た周りの生徒たちは、
 
 
「自分にもはなまるを!!」
 
 
と、よりいっそう一生懸命書き始めます。笑
 
 
結果的に、生徒たちは集中的に取り組んでいました。
 
 
この授業をやってわかったことは、
 
 
「説明が明確であること」課題のレベルが生徒に合っていること「空白の時間を作り出さないこと」という基本的なことが大事であること。
 
 
逆に、「やることがわからない・することがない」という空白の時間を作り出したり、「課題が生徒のレベルに合っていない」と生徒たちは一気に鉛筆で遊び始めるか、友達にちょっかいをだし始めたりします。
 
 
生徒は「やることが明確で自分のレベルに合ってる」と集中的に取り組んでいました。
 
 
少し生徒をコントロールするコツを掴んできたような気がします。
 
 
このクラスで経験を積んで、もっと授業のスキルを磨いていきたいと思います。
 
<このブログのアメリカ教育実習記が本になりました>