日本人は1人だけ!アメリカの大学で教育を学んでみる

日本人は1人だけ!アメリカの大学で教育を学んでみる

早大を休学してアメリカのリベラルアーツカレッジで教育を学ぶ学生。アメリカ留学2年間終了後、アフリカに行き、現在はインドで働いている。多くの教育関係者、海外に興味を持った方に読まれるブログを運営中。

読書感想文のマニュアルが良いか悪いかって話~教育心理学の視点から~

 

昨日の朝日新聞の朝刊にこんな記事が出ていました。

 

www.asahi.com

 

関西地方の公立学校の先生が、読書感想文の書き方のプリント(ツイートではマニュアルと明記されているもの)を生徒に配布したのに対して、衆院議員の堀内照文氏が、以下の内容のツイートをして話題になったみたいです。

 

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実際に配られたプリント

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(上記の写真は【炎上】小学校で配られた読書感想文マニュアルに賛否両論の声 | netgeek から引用)

 

これを読んだ時に、僕が感じたことを書きたいと思います。

※あくまでも僕の個人の意見です

 

今回の論点は二つあり、一つ目は「マニュアルが効果的なのか」ということと、もう一つ目は「学校で作文指導を十分されずに読書感想文をいきなりやらせるのはどうなのか」ということです。

 

朝日新聞では。「マニュアルの賛否」のところだけに焦点が当てられていますが、堀内氏は

まだ作文指導のない1年生から課され、今年はこんなマニュアルが学校から!」

 

と学校の作文指導が十分ではないということにも言及しています。

 

①マニュアルが効果的か

 

結論から言うと、

 

「YES」であり「NO」であると考えます。 

 

こうゆう問題って白黒はっきりつけたくなると思いますが、大体はケースバイケースだと思います。

 

子どもは一人一人違うので、単純に「良い」「悪い」と言い切れないです。

 

このプリントが役に立つ生徒もいるし、そうでもない生徒もいると思います。

 

例えば、「読書を日ごろから習慣になっていて、文を書くのにも抵抗のない生徒」には必要がないでしょう。

 

自分の書き方などがある程度確立している場合は、無理に「こうしたほうがよい」と言わなくても生徒は自ずと書くことができます。

 

しかし、「日ごろから本を読む習慣もなく、文をほとんど書いたことがない生徒」にはこのような「やり方の説明」があっていいと思います。

 

「マニュアル」と言うと聞こえが悪いと思いますが、このプリントは「作文の書き方のプリント」と捉えればいいでしょう。

 

なぜ「やり方の説明」が必要なのか 

今インドの学校で、授業についていけない子を個別でフォローをしているのですが、「ついていけない」最大の理由は「レベルがあっていないから」です。

 

「引き算」のやり方もまだままならないのに、「繰り下がりの引き算」ができるわけないのです。

 

「アルファベット」もまだ完璧に習得していないのに、「英語の文を作ってみよう」は難しすぎるのです。

 

今回の読書感想文の宿題でもいきなり、「読書感想文を書こう」というのは「本を日頃ら読むという習慣にない子」にとってはステップが飛躍しています。

 

なので、このプリントはそのステップの穴埋めをするものとして先生は配布されてのでしょう。

ZDPとScaffoldingについて

 

教育心理学で有名なZPD(Zone of proximal development)という考え方とScaffoldingという考え方を紹介したいと思います。

 

これはロシアの心理学者のヴィゴツキーが唱えた「人はどのように新しいことを学習するか」の手がかりとなる考え方です。

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この上の図の一番内側の紺色の小さい円は「生徒が自分の力でできること」の範囲です。

 

そして、一番外側の緑の円は先生や大人の力を借りたとしてもできないこと」の範囲です。

 

そして、その2つの間にある水色の円が「自力ではできないけど、先生や大人の力を借りたらできること」の範囲です

 

この水色の円の範囲のことを心理学では「ZPD」と呼ばれます。

 

そして、生徒が「先生や大人の力を借りたらできる」ようになるためには用意周到なScaffoldingが必要です。

 

Scaffoldingは「足場」という意味ですが、ここでは「上の段階に行くためのサポート」という意味で使われています。

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この「サポート」がないと、生徒は「自力ではできないけど、先生や大人の力を借りたらできることの範囲」には到達できません。

 

いきなり読書感想文をやってきてというのは多くの生徒にとって、「足場がない状況で上に登ってきて。」と言われているようなものなのです。

 

なので、「文の書き方のプリント」は大事なサポートのうちのひとつだと思います。

②学校で作文指導が十分されずに読書感想文をいきなりやらせるのはどうなのか

 

上記で述べたように、「作文の書き方」のプリントを配布することは悪くないと思いますが、「夏休みにプリントだけ渡す」というのは生徒が困惑する可能性があります。

 

まず僕は「作文の書き方」を学校であまり習った覚えがありません。

 

僕がアメリカの大学にいた時は「文の書き方」の教え方というのがきっちりされていました。

 

アメリカでの文の書き方の教え方

 

それはもう、「マニュアル」と呼んでもいいほどしっかり決まっています。

 

二つ紹介したいとおもいます。

 

一つ目は5 Step Writing Processというものです。

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文を書くときには、

①執筆前の構想 (書く内容決め)
②下書き 
③添削 (内容チェック)
④校正 (文法チェック)
⑤出版

 

「この5つのステップを踏む必要がある」というもので、小学校でよく使われています。

 

また、書き方までかなり詳細に決められているのが、5 Step Paragraphです。

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1、一段落目は導入で自分の意見やトピックについて書く
2、二段落目から四段落目は自分の意見の理由や例を何個か組み込む
3、結論では導入で言った自分の意見のまとめを別の表現で言い換える

 

僕はこれを大学で習ったのですが、これを見たとき「そこまで決められているのか」と僕も抵抗感がありました。

 

これらのマニュアルがゴールではなく、スタートに過ぎない

 

1つ気をつけて欲しいのは、このマニュアルや書き方が「最終形」ではないことです。

 

これは基礎の基礎の型なのです。

 

日本での芸術等で弟子と子弟の関係で「守破離」と言われますが、これは「守」の部分に過ぎないのです。

 

教えを忠実に守り、確実に身に着けた後は、それを「破って離れなければ」いけません。

 

小学校の段階はまだやり方を身に着ける段階の子どもが多いので型を覚えさせるのもいいのではないかと思います。

 

まとめ

 

マニュアルが良いか悪いかは一概に言えないと思いますが、読書量が少なく、「何を書けば良いかわからない」という子どもにとっては有効だと思います。

 

しかし、そのやり方に従うのも初めの頃だけで、れてきたら「破って離れる」ことが大事です。

 

また、「マニュアル」と言うと聞こえが悪いと思いますが、「作文の書き方のプリント」と言えば抵抗感も少なくなると思います。

 

作文指導を学校でする時間を多く作れば、読書感想文にも生徒は困惑しなくなると思います。